投資を始めたいけれど、どこから手をつければいいのかわからない——そんな人に向けて、アメリカの著名投資家「Mr. Wonderful」ことケビン・オリアリー氏が投資の基本から最新トレンドまでを語った動画「Investor Support」。ETFやビットコイン、AI株、テスラまで、彼のリアルな見解には、投資初心者にも通じる重要なヒントが隠されていました。
出典:投資家だけど質問ある?| Tech Support | WIRED Japan
ETF投資は「最も手軽な第一歩」
動画の冒頭で語られたのは、投資初心者に向けた基本中の基本、「ETF(上場投資信託)」の魅力です。
オリアリー氏は「S&P500に連動するETFは、最もシンプルで安定した投資手段」と説明します。アプリを使って毎月10〜15%を自動積立するだけでも、長期的にリターンを得られる可能性が高いと述べ、**「市場を読もうとするより、時間を味方につけること」**が最も確実な戦略だと強調しました。
市場のタイミングを読もうとする人は多いですが、「誰もマーケットの未来を完璧に読めない」と断言。彼自身も過去に“痛い目を見た”と語り、短期投資よりも継続的な積立の重要性を説いています。
借金よりも「負債ゼロ」を目指す
「緊急資金を作るべきか、それとも借金を返すべきか?」という質問に対して、彼の答えは明快です。
「まずは高金利の負債をゼロにしろ」。
年利20%を超えるクレジットカードの借金を抱えながら投資を始めるのは、まるでバケツに穴を開けて水を注ぐようなものだと指摘します。
「年23%の利回りを安定的に稼ぐ投資なんて存在しない。借金を返済することこそ最高の投資」と語るその言葉には、堅実な金融哲学がにじみます。
パランティアやAI株、過熱ではなく進化の段階
動画の中盤では、視聴者からの質問「AIやデータ企業はバブルではないか?」に対して、彼は冷静にこう答えます。
「テクノロジーは時に過剰評価されるが、長期的には現実を変える。」
かつてAmazonやNetflixが「過大評価」と言われた時期もありましたが、最終的に成長を証明したと例を挙げました。
特にパランティア(Palantir)については「データこそ新しい石油。AI時代の中心にいる」とし、AIとデータ解析が企業価値を押し上げる中で、まだ成長余地があると見ています。
仮想通貨は「ポートフォリオの一部」
「ビットコインは本当に投資対象なのか?」という質問には、彼の投資哲学が光ります。
「信じる者だけが持てばいい。だが、分散投資の一部として保有するのは理にかなっている。」
オリアリー氏は、自身もビットコインを保有しつつ、「資産全体の20%を超える投資は避け、1銘柄には5%以内」というルールを守ると説明しました。
彼は「暗号資産がS&P500の“第12のセクター”になる日は近い」と語り、今後の制度整備によって、仮想通貨が正統な資産クラスとして認知される未来を予測しています。
デジタル決済の普及とともに、仮想通貨は確実に生活インフラへと近づきつつあります。
テスラは「単なる自動車株」ではない
続いて話題となったのはテスラ(Tesla)の株価動向。
「テスラは電気自動車メーカーというより“データとエネルギー企業”」とオリアリー氏は語ります。
自動運転技術やAI、ロボティクス、再生エネルギーまでを手掛けるテスラの事業領域は広く、彼にとっては“未来への長期投資”の象徴。
株価がピーク時に戻るかどうかは「誰にもわからない」が、「データ企業としての成長力を見れば、依然として有望」と述べました。
ゴールドや短期取引への見解
金(ゴールド)への投資については、「資産の5%ほどを保有している」と明かしつつも、「保管コストを考慮すべき」と現実的な助言をします。ETFを活用すれば管理も簡単で、価格変動のリスクを抑えつつ安定した資産分散が可能です。
また、「デイトレードはフルタイムの仕事。誰にでもできるものではない」とも強調。短期取引のリスクを理解せずに市場に挑むのは危険であり、長期的な複利効果を重視する方が圧倒的に現実的だと述べました。
若い世代に向けた資産配分のアドバイス
22歳の若者から「どのくらい債券を持つべきか?」という質問には、年齢ごとのポートフォリオ比率を具体的に示しました。
「若いうちはリスクを取るべき。20代なら株70%、債券30%でいい。」
年齢が上がるにつれリスクを減らし、60歳で50:50にするのが理想だといいます。
つまり、若いほど「成長株・ETF中心」、年齢を重ねたら「安定資産」へとシフトするのが賢明だということです。
売るタイミングは「5%ルール」で決める
「いつ売るべきか?」という永遠のテーマには、シンプルな答えを出しました。
「1銘柄が全体の5%を超えたら売る。それが“分散の規律”だ。」
特にテスラのような高ボラティリティ株では、このルールを長年守ってきたと明かします。利益確定のタイミングを厳密に測ることは不可能だからこそ、「リスク管理」で利益を確実に残すことが重要だと語りました。
投資家が持つべきマインド
最後に彼が伝えたメッセージは実にシンプルです。
「誰も完璧な投資家ではない。だが、学び続ける者が成功する。」
シャークタンクでの経験から、投資は「馬ではなくジョッキー(経営者)に賭ける」ことだと再確認。特に「女性起業家の方が成功率が高い」と語り、「結果を出す人に共通するのは柔軟性と粘り強さ」だと締めくくりました。
まとめ
投資は知識よりも「習慣」と「規律」。Mr. Wonderfulが繰り返し強調したのは、「市場を予測するより、分散して続けること」。ETFや仮想通貨、テスラのような成長株も、適切な比率と長期視点があれば資産を守り育てることができる。焦らず、自分のリズムで資産形成を始めよう。


コメント