仮想通貨税制を株と同じ20%に?新経済連盟が分離課税と損失繰越を提言

仮想通貨税制を株と同じ20%に?新経済連盟が分離課税と損失繰越を提言

新経済連盟(代表は楽天グループ会長の三木谷浩史氏)は2025年9月10日、政府に対して仮想通貨の税制改正を求める提言を公表しました。現行の制度では、仮想通貨取引に最大55%もの総合課税が課され、さらに仮想通貨同士の交換でも課税されるなど、投資家にとって不利な環境が続いています。今回の提案は、株式と同様の20%申告分離課税や損失繰越控除の導入を目指すもので、もし実現すれば日本の投資環境が大きく改善する可能性があります。

目次

現行制度の問題点

日本の仮想通貨課税制度は、世界的に見ても投資家にとって厳しい内容となっています。まず、所得税として最大55%の総合課税が適用される点が大きな負担です。給与所得や不動産収入と合算されるため、高所得者ほど税率が跳ね上がりやすい仕組みです。

また、株式やFXとは異なり、仮想通貨同士を交換した場合にも課税が発生します。たとえばビットコイン(BTC)をイーサリアム(ETH)に換えた際にも課税対象となるため、投資戦略の柔軟性を大きく制限してきました。この仕組みは世界的に見ても珍しく、結果的に日本の投資家が海外取引所へ流出する一因になっていると指摘されています。

新経済連盟の提案内容

今回の提言では、以下の具体的な制度改革が盛り込まれました。

  • 申告分離課税20%を適用:株式やFXと同じ税率に統一
  • 損失繰越控除の導入:仮想通貨取引で出た損失を翌年以降に繰り越せるようにする
  • 課税タイミングの見直し:法定通貨に換金した時点でのみ課税
  • デリバティブ取引の分離課税化:仮想通貨先物やオプション取引も20%課税
  • ETFでの取り扱いを可能に:機関投資家の参入を促す枠組み
  • レバレッジ規制の柔軟化:通貨ごとのリスクに応じて段階的に設定

これらは投資環境の公平性を高めるだけでなく、日本市場の魅力を国際的に強化する狙いがあります。

改正の狙いと期待される効果

新経済連盟の主張の根底には、Web3企業や個人投資家の「海外流出」を食い止めたいという強い思いがあります。現行制度では税負担の重さから、シンガポールやドバイといった仮想通貨に寛容な国へ拠点を移す事例が相次いでいます。

制度改正によって税率が20%に統一され、損失繰越が可能になれば、国内における投資活動が活性化し、資金循環もスムーズになるでしょう。さらに、ETFやデリバティブ市場の整備によって機関投資家の参入が進めば、マーケットの安定性と流動性も高まります。

加えて、若手起業家やスタートアップにとっても、資金調達の手段として仮想通貨やトークンエコノミーを活用しやすくなり、日本の産業競争力強化にも直結します。

国際比較と日本市場の課題

海外ではすでに仮想通貨に対して分離課税や優遇措置を導入している国が多く存在します。たとえばシンガポールでは個人投資家のキャピタルゲイン課税が免除され、ドイツでは一定の保有期間を過ぎた仮想通貨の売却益は非課税となります。

こうした制度の違いは、日本の投資家が国内市場に留まるかどうかを大きく左右します。国際競争の中で日本が取り残されないためにも、柔軟な制度改正が求められています。

まとめ

今回の提言を一言でまとめると「株と同じ20%課税+損失繰越で仮想通貨市場を育成しよう」というものです。もし実現すれば、投資家にとっては税負担が軽くなり、国内市場での取引が促進されるでしょう。また、Web3企業やスタートアップの育成環境も整い、日本経済の成長戦略に直結する可能性があります。

ただし、税制改正は政治的な議論を経る必要があり、実現までには時間がかかることも予想されます。今後の動向を注視しながら、投資家にとっても企業にとっても有利な制度設計が進むことが期待されます。

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